emten

2024/06/20 02:29

Special Interview vol.2

岩渕淳 [ BW01店主|バーテンダー ] 

東京・恵比寿駅のほど近くで、「BW01(ビーダブリューゼロイチ)」を営む岩渕淳氏。店名である”B"と”W"は、岩渕氏が愛する「Beer」、「Wine」、そして「Whisky」から来ている。岩渕氏のこだわりが随所に滲み出るBW01で、ウイスキーの奥深さとemten - tumbler について伺いました。


果てのない探求。

追い求めるほどに引き込まれる、ウイスキーの世界。




「きっかけはドラマ。将来小さな自分のお店を持つのが、夢でした。」

都内のバー数店舗で経験を積み、2017年に自身の店舗として開業したBW01。ここには、岩渕氏のこだわり・世界観が詰め込まれている。お酒、そして音楽を楽しんでほしい。気負わずに、バーという場所を楽しんでほしい。そんな想いが込められた場所だ。

「バーテンダーを目指したきっかけは、恥ずかしながらテレビドラマでした。織田裕二さん主演の『恋はあせらず』というドラマで、俳優の藤竜也さん演じるバーテンダーが渋すぎて。将来、自分もあんな小さなお店を持てたらいいなと憧れて、この世界に飛び込みました。自分のお店をもつ夢は叶えられましたが、あんな渋いバーテンダーになるのは無理でしたね(笑)。」



BW01に入ると、すぐに目に留まるのが、バーカウンターの奥に並べられたウイスキーボトルの列だ。圧巻の量である。オープン時は100種類ほどだったウイスキーは、今や500種類を超えるという。お酒への愛が止まらない岩渕氏。中でもウイスキーに関して語り始めると、一段と熱が増す。

「新しいウイスキーは、ここ5-10年でどんどん増え続けています。日本においても、蒸溜所の数がすでに100箇所以上に達しています。気になったウイスキーは積極的に試してみるようにしています。近年、ウイスキーの希少価値がどんどん上がっていますが自分のポリシーとして、お客さまへの提供価格が必要以上に上がってしまうのは避けたい。だから、日々新しいウイスキーを試し、気に入ったものは適正価格で仕入れられるようにしています。」



「20年以上経験しても、お酒、接客に明確な答えはない。」

「お客さまが違えば好みや人柄も違う。だから、サービスも当然お客さまによって違ってきます。どんなお酒が飲みたいのか、どんな会話を求めているのか、その都度表情や言葉から読み取り考えながら接客をしています。BW01には一人で来店されるお客さまも多いです。一見敷居が高そうに感じるバーですが、一度入ってみると実はそんなことはない。もっと気軽に楽しんでほしいと思っています。」


水一滴で、ウイスキーの表情は驚くほどに変わる。




「色んな飲み方が楽しめるのが、蒸溜酒。同じお酒でも飲み方で表情ががらっと変わります。」

”研究者”と呼んでも過言ではないほど、ウイスキーへの探究心・造詣が深い岩渕氏。蒸溜酒は醸造酒と違って、飲み方によって味わいの幅が無限大に広がるのが特徴だという。

「ウイスキーは、温度によって味わいや香りの感じ方が違ってきます。さらに、加水することで香りがぐっと開きます。一般的には、水が加わることで甘みの成分が開くと言われています。でも、一部のウイスキーは逆のパターンもある。これが面白いところですね。たった一滴の水でこんなにも味わいが変わることには、いつも驚きます。とても繊細なので、BW01ではごく少量の水を加えることができるように、注射器のような形状をしたオリジナルの器具を使っています。」



プロフェッショナルが提案する、emten - tumbler で飲むハイボールとは。




「炭酸水で薄めても負けない、骨格がしっかりしたウイスキーがおすすめです。」

家で気軽に楽しむ人も多いハイボールだが、ちょっとしたポイントに気を配るだけで、いつものハイボールが格段に変わり贅沢品となる。自宅でのハイボールライフをワンランクあげるコツとは。

「ハイボールはウイスキーを炭酸水で薄めるので、骨格がはっきり感じられる、味わいがしっかりとしたウイスキーが合うと思います。よりこだわりたい方は、炭酸水だけでなくウイスキーも冷やしておけるとなお良いです。同じ温度の方が混ざりやすく一体感がでます。バーでは、氷でグラスとウイスキーを一気に冷やしてから炭酸水を注ぐのが一般的です。炭酸のピリピリとした刺激をより楽しみたい方は、ペットボトルよりも炭酸が強い、瓶のタイプを使うのがおすすめです。」



「emten - tumbler は、ウイスキー好きにおすすめしたいタンブラー。」

誰よりもウイスキーを愛し、探求し続けている岩渕氏。プロフェッショナルからみた、emten - tumbler の魅力とは。

「一番に、内面が滑らかな鏡面仕上げになっているのがとても良いと感じました。炭酸は、ちょっとした衝撃でそこからどんどん抜けていきます。氷もその一つの要因です。唇に当てた時に液体と同じ冷たさを感じられるのも、ポジティブなポイントです。また、ウイスキーは冷たすぎると香りが閉じてしまいます。氷を入れずに作るハイボールは徐々に温度が上がっていくので、香りの変化を感じやすい。ウイスキー好きにおすすめしたいタンブラーですね。変化球な使い方としては、タンブラーを冷やさずに、ウイスキーも炭酸水も常温でつくるハイボールも面白いと思います。」

岩渕氏がすすめる、emten - tumbler でつくるハイボール。

「配合は、ウイスキー1に対して、炭酸水は3前後。炭酸水の量は、ウイスキーの種類や好みによって調整してください。柔らかい味わいのウイスキーの場合は炭酸水を少なめに。香りのクセが強いタイプの場合は、炭酸が負けないよう炭酸水を多めにいれるのがポイントです。炭酸水は、タンブラーを傾け側面から沿わせて入れ、ある程度液面が上がってきたらタンブラーを縦に戻して液面に刺すように残りを入れます。炭酸の泡が上がってくる勢いでアルコールが持ち上がり、よく混ざります。炭酸水だけでなく、ウイスキーも冷やしておけるとベストです。」



追えば追うほど深さが増す、ウイスキーの世界の片鱗を垣間見た。



岩渕淳 [ BW01店主|バーテンダー ]
Profile
1978年、東京都で生まれる。
21歳の頃、バーテンダーの世界に飛び込み、以後多数の店舗でチーフバーテンダーを務める。
2017年に独立し、自身の店舗となるBW01をオープン。


撮影 / 松本和也
文 / 大塚真妃